映画「典子は、今」について

映画「典子は、今」 は、サリドマイド禍を克服して、熊本市職員として働く辻典子の半生を本人の主演で描いたもので、この年の邦画においての興行成績は、フーテンの寅さん「男はつらいよ」を上回ったと言われています。

あらすじ・・・

昭和37年1月、典子はサリドマイドの影響を受け、両肩の先に少しの指がついた状態で誕生した。前途を悲観した父親は医師に典子の両肩についている指の切断を切望する。出産直後の母親には、産まれた状態も指を切断されたことも知らされていなかった。

母は運命を嘆いた。しかし立ち上がった。ありのままの身体で何ができるのか、、力の限り生きていこうと決心する。

両腕のない典子の小学校入学の壁は厚かった。知能も健康にも優れているのに両腕がないというだけの理由で、養護学校も小学校への入学も拒否されてしまう。その時、典子の母は狂ったように泣き叫んだ。それでも母は何度も何度も小学校へ出向き典子の入学を懇願する。その熱意で典子は念願の小学校への入学を果たす。学校では優しい友達、見守る先生たちがいた。

高校を卒業した典子は社会へ旅立つ時を迎える。そして熊本市役所へ26倍の難関を突破して合格する。希望と不安を抱きながら社会人として歩み始める。

やがて典子は、ひとり広島へ旅に出る。母の反対を押し切り、文通をしていた友の所へ出かける。母のもとを離れ、自分だけでの旅、切符を買うことも食事をすることも全て自分の力で何とかしなければならないのである。典子の旅は自立の旅でもあった。

ひとはみんな、それぞれの今を生きている。これは典子さんについての、みんなの物語。(映画のパンフレットより)

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